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Yumiko Kakizaki / クリエイティブ部 部長・柿崎弓子

–資料を見ると、デザイン案の数がすごいですね。
50案くらい出しましたね。3年前、私がBAKEに入社して初めて任されたのが、このシンボルマークのデザインでした。

–3年前ということは、すでに「ベイク チーズタルト」はある状態。
はい。なのでまずは「ベイク チーズタルト」を立ち上げたメンバーの思いを汲み取るところから始めました。ずっと話を聞いていましたね。みんなの意見を統一してデザインに落とすまでが結構大変でした。

–どんなワードが出ましたか?
「王道」「本物」「極めたもの」とか。「チーズタルトの最高峰を目指したい」とも言われました。あとは「ルーツは北海道」とか。当時は特に、「北海道」という言葉はよく出ていて。

–ボツ案を見ると、たしかに北海道らしきマークがあったり、牛や鳥もいて。
北海道にしかいない珍しい鳥がいて、「そんな鳥がついばみに来るぐらい、美味しいタルトですよ」みたいなフレンドリーなデザイン案もありました。でも、これらは落とすためのデザインで。

–というと?
「BAKEは分かりやすくてフレンドリーな方向を目指すんですか? 違いますよね?」ということを伝えるには、一度絵にする必要があって。というのもみんなの意見が出すぎると、「分かりやすいものがいいんじゃないか」という方向に傾いていきがちです。でも一番大事なのは、世界観ですから。すでに2年近く愛されてきたブランドの世界観にフィットさせることを忘れてはいけないと思っていました。

–結果的に、「B」「A」「K」「E」の文字を重ねたシンボルが採用。このマークの意図は?
骨組みのイメージです。シンプルで極めたものってなんだろうと考えた時に、建物をすべて削ぎ落とした後に残った骨組みが浮かびました。骨組みだけがある強さが、本物感に繋がるんじゃないかなと。そもそもBAKEのお菓子は別ブランドのアップルパイ「RINGO」などもそうですが、商品名からして「そのものをただ言った」というくらいシンプルなんです。余計なことは言いたくない、要素を足したくない。結果として、その方向のシンボルマークに着地できたと思います。

–このマークやロゴはずっと使い続けるのでしょうか?
コンセプトが変わらない限りは使い続けます。お菓子は口に入るものだから、コロコロ変えると安全性や信頼性が揺らぐと思いますし。逆に言えば会社はロゴを変えずにいられるように、商品に対して努力し続けなきゃいけないとも思います。

–今後「ベイク チーズタルト」でやりたいことはありますか?
まだまだ先の話ですが……いつか宇宙に飛ばしたいなと思っていて。

–宇宙、ですか?
クリエイティブチームで時々「10年先に何がしたい?」と話し合うんです。その時に「災害時でもお菓子が食べられたらいいね」という話題になって。どんな状況でもお菓子があれば、心が少し豊かになるんじゃない? ということなのですが、そこから展開して「宇宙でもチーズタルトを食べたいね」と。

–面白いですね。だいぶ飛躍した商品企画で。
企画の人にも「宇宙に持って行けるお菓子を考えておいて」と言ってあります(笑)。そういうのは、誰が何を考えてもいいと思うんです。まだ会社もブランドも若いから、みんなで面白いことをしなきゃなって。「楽しまなきゃ」というのは、いつも思っています。


デザイナー冥利に尽きるのは「BAKEの手提げ袋がシワシワになるまで使いこまれていたり、古本を捨てる入れ物になっているのを見かけた時」と柿崎さん。「『売れた!』と思います(笑)。やっぱりロゴとかパッケージって人の目に触れて、使われてなんぼですから」。